現役デリヘル嬢のリアル体験~地獄でほっとけ~

現役デリヘル嬢のリアル体験 地獄でほっとけ!

【第40話】好きな人ができた場合、風俗嬢を疎ましく思うか?

2015.6.9

風俗嬢である自分が一般の男性に恋をしてしまったとき、風俗で働いていることを疎ましく感じるか。彼に言ったらどういう反応をするだろうか。難しい問題ですよね。

今回はそんな女の子のお話です。

あたしは昼間、エステティシャンとして普通に働いている。今時のエステは男性客も多くて、その美意識の高さに驚く。特に多いのは、口の回りのヒゲの永久脱毛。あごや鼻の下が青くなるのが嫌なのだという。女性のようなつるつるたまご肌になりたいという願望を持った男性が増えているのは、お店にとってはプラスなことである。

三浦君もそんな男性客のひとりだ。20代のさわやかな男子。

え?なんで、こんな若くて肌も綺麗で色白なのにエステなんかに来るんだろう?と不思議だった。

「俺、こう見えて、濃いんですよね」

三浦君は初めてお店に来たとき、こう呟いた。

「濃い……、ですか?」

濃いと言われ「あっさり顔じゃん」と突っ込みを入れると、三浦君は「いやー、ヒゲなんですって!」と真剣に答えた。「顔があっさりなのにヒゲが濃くてギャップがあり過ぎるから」と付け足した。

「あー、そうなんですね。わかりました」

あたしは脱毛に関する注意事項や料金等を説明し、週に1回の担当エステティシャンになった。

年齢が2つ下ということもあり、話も弾んだ。彼が来店するたびにあたしはだんだんと、彼に惹かれていった。先輩がお客さんだった人と最近婚約したこともあり、もしかしたらあたしも…なんてぼんやり考えていた。

でも…。

実はあたしは風俗嬢なのだ。昼間のエステはただの表向き。本当は風俗歴6年のベテランデリヘル嬢借金返済のために始めたデリヘル。エステで働いている以上、自分自身もキレイでいるよう磨かなくてはならない。むしろお金が掛かってしまい、結果借金が残った。なので、正社員からパートにしてもらい、デリヘルをメインにダブルワークとなったわけだ。

6年も風俗業界にいると、いくら昼間仕事をしているからといっても感覚がずれてくる。考え方も性格も、男に対する態度もすれてしまっていて、30前なのにもうまともな恋愛や結婚はできないなと諦めていた。

デリヘルのお客さんなどは論外で、お金をくれる人としか見られない。男性と意識して見たことは今まで一度もない。「愛人にならないか」。「付き合ってよ」。「やらしてよ」。下らないやりとりは疲れるが、客に恋愛させるのが風俗嬢の仕事。そうして手に入れたお金はあたしにとっての生きる糧だった。

男はお金。初々しいころのあたしは一体どこに行ってしまったのだろうか。デリヘルで客の相手をするたびに思うことだった。あたしは冷めている。感情の欠落

最低だ。自責の念がいつもあたしを蝕んでいた。

三浦君の最後の脱毛の日、話の流れから風俗の話題が出た。あたしはドキリとしたが、それでも冷静を装って三浦君の話に耳を傾けた。

「風俗行く男ってどう思います? 俺の友達、みんなほとんどデリヘル呼んでるんすよ」

「んー、どうかなぁ? 男だし別に普通じゃないのかな」

三浦君の目にはタオルが被せてあるのであたしの表情が見られることはない。きっと、色のない顔をしている。三浦君は続ける。

「俺は風俗とかマジありえないっす。お金で女をとか信じられない。なので誘われても1回も行ったことないです」

「そう」

あたしは聞いてみる。

「じゃあ、もし仮にね、付き合っている彼女がいてね、その彼女さんが実は風俗で働いていたらどうする?」

「別れます。でも、その前に付き合わねーし」

即答だった。

「そ、そうね。そうだよね……」

その後もいろんな話をしたが内容はよく覚えていない。

覚えているのは、会話が途切れたときに突然言われた「付き合ってください」

告白だと気づくのに少し時間が掛かったが、さっきの「別れます。でも、その前に付き合わねーし」の言葉のあとでは、痛いだけだった。

もし、デリヘル嬢をしてなかったら即座に付き合いを承諾していたはずだ。

三浦君が好きだし、三浦君もあたしを好きと言った。

6年間デリヘルで働いてきたが、今、初めて自分が風俗嬢であることを心底疎んだ。

「ごめんなさい。あたし、今、仕事が大事だからお付き合いできないです」

ちょっと泣きそうになりながら、やんわりと断った。

三浦君はもっと純粋な子がお似合いだと思ったし、あたしはやっぱりデリヘルの仕事も辞めたくないから。

でも、自分にもまだ人を好きになる感情があったんだということを気付かせてくれた三浦君に感謝しつつ、目だけ隠れていて、レーザーで赤くなっている口の回りをさけて、そーっとキスをした。

「え?」

三浦君は頬を赤らめ、頭を掻いた。

風俗嬢でも自分を卑下することなく自由に恋愛をして欲しいと思いますね。彼もしくは、旦那にバレない様。

風俗嬢は立派な仕事だと思います。ただ長く続けているうちに恋愛感情を忘れがち。どのような場面においても、女であることは忘れないでくださいね♡

次回は、「キスしてもいい?」デス。

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藤村綾

風俗歴15年。現役デリヘル嬢。風俗ライター。『俺の旅』ミリオン出版にて『風俗珍講座』連載中!日々炯眼な目で人間観察中。




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