現役デリヘル嬢のリアル体験~地獄でほっとけ~

現役デリヘル嬢のリアル体験 地獄でほっとけ!

【第5話】風俗嬢の恋 3

2014.9.9

意を決し

「抱いて欲しい、一度だけ」

と懇願したわたしに根負けした彼は

「もう!!一度だけだから……」

と言葉を言い淀ませながらあまり電話の鳴らない昼間の時間帯を見て、少し離れた場末のラブホテルに行きました。

彼のお店で働き始めて3ヶ月たった頃だったかな?

お客さんの前では平然と裸になれるのに、彼の前で裸になることはかなり躊躇し

「お願い真っ暗にして」

と暗闇の中、彼に抱かれました。

それから3回程抱かれましたが。


ある日とんでもない事件が……。

「まいさん(源氏名)病院行ってくれないかな?実は俺、クラミジアと淋病になっちゃって……。その、まいさん。としかしてないから……。直ぐ病院行って」

とか弱い声で電話が。

「え!!本当に?わたし全く自覚症状ないよ、ねぇ、大丈夫なの?ねぇ」

と強く言葉を打ちつけましたが彼は黙ったまま。

風俗嬢のわたしをかなり蔑んだことでしょう。

胸の中は(あー、ヤルんじゃなかった。風俗嬢と)後悔の嵐だったと思います。


病気にはかなり気をつけていましたが、しかし一日に何人ものお客さんのモノを咥える訳ですからどこで病気になるか分かりません。

迂闊だったと言えばそれまで。

わたしも直ぐ病院に行きました。

やっぱり彼と同じクラミジアと淋病。

病気は薬を飲めば完治します。が、心の傷は一生治りません。

彼に何度も謝りました。

「もういいから……」

と言う彼の顔は抱かれる前の優しい顔じゃなくなっていました。

病気を治してまた復帰したわたしに彼はやたら冷たくて。


でも、お店の女だし毎日出勤はしました。


ドライバーさんのおっちゃんが1人いたのですが、それ以来彼がわたしを送迎することは滅多になくなり、自然と離れていきました。

彼は元々女嫌いだしそれ以上に風俗嬢嫌いになってしまったのです。

そりゃーなりますよね?。

事務所にこもりっきりになっちゃいました。

わたしのせいです。


時は過ぎ、わたしはいつの間にか彼のお店で5年も働いていました。

病気のこともあったけれど払拭したかのようにその頃になると送迎もしてくれるようになりましたが……。

好きな想いは募るばかり。

でも抱いてと言えないもどかしさ。

風俗嬢という立場。

彼にお客さんのいるホテルの前で降ろされ

「いってらっしゃい」

と言われるたまらない寂しさ。

心のバランスが崩れてきたのかその頃からお仕事に行く度、彼の車の中で泣いていました。


彼は

「泣くぐらい嫌なら辞めたらいいのに」

とボソッと呆れ顔で言いました。


違う、違うの。

涙の理由はあなたなの。

なんで分かってくれないの?

わたしを嫌いならとことん嫌って欲しかったし、優しい言葉はいらない。


デリヘルの女の子は大体運転席から見て左後部座席に座ります。

わたしはいつも彼の斜めの顔を涙ながら見入っていました。←ある意味怖いですね……。

抱かれたから好きになった訳じゃなく、その人柄を好きになったので彼を忘れることは難しい。

好きなら好きでもいいって割り切って仕事をしましたが、その頃お店の経営が苦しくなり店をたたむということになったのです。

彼は言いました。

「丁度いいきっかけだから風俗辞めな」

と。

そうしようと思いましたが彼は系列店に飛ばされることになり、わたしも週に一度系列店にお手伝いに行くようになりました。笑

が、彼もいよいよ嫌気がさしたのでしょう。

退職し昼間の仕事につきました。


わたしは?っと言えばまだ風俗嬢をやっています。(風俗のお仕事が好きなんですよね)


彼のことを好きだった5年間は今ではいい思い出です。

彼は結局抱いたのに『好き』と言ってくれなかった。

病気をうつしたこともあったかもしれないけれど、本当の所はどうだったのかな?

もう風俗店のスタッフとは恋愛しないと頑に誓ったわたし。


ですが、学習しないのか?出会いがそこしかないのか?笑


今付き合っている彼はまた風俗店の店長です←本当にバカ?笑



来週は『性の病気』についてです!!

コラムの更新情報を受け取る
受け取る 受け取り停止
メールアドレス:

藤村綾

風俗歴15年。現役デリヘル嬢。風俗ライター。『俺の旅』ミリオン出版にて『風俗珍講座』連載中!日々炯眼な目で人間観察中。




バックナンバー