官能小説~女子的夜話~

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【第76話】赤い縄の誘惑 その1

2017.1.19

彼とのデートが、ちょっとマンネリ化してる。

ていうか…付き合いはじめて、もうすぐ2年だし…いわゆる倦怠期ってやつ?

デートと言っても…いつもホテルだし。

コンビニでビールとおつまみ買って、ホテル行って、テレビ見ながら飲み食いして…。

こんなのなかりじゃときめかないよ。

肝心なエッチの方も、ワンパターンていうか…。

すぐアソコを刺激して、わたしをイかせて

挿入して、彼がイったら、おしまい。

ホテルを出て、どこかへ寄るわけもなく。

そのまま駅まで歩いて、バイバイ。

なんか…むなしいぞ…。

ドライブデートしたいとか、いっしょに映画に行きたいとか、もっと美味しいもの食べに行きたいとか、わたしにだってリクエストはある。

でも、エッチしかないカップルというのが現実だったりする。

なら、せめてエッチで盛り上がりたい。

彼を…開発したら楽しいかな?

乳首刺激したり…。

フェラしてるとき声を出してもらったり…。

だから…。

わたしは色々と試してみた。

ネットで調べたテクニックを駆使してみたり。

彼の乳首にキスして…甘噛みしたり。

指先でクネクネとこねたり。

フェラだって、雁首のところを重点的に刺激した。

おち●ちんの裏側というか…裏筋(?)の部分を刺激したよ。

先っぽをストローみたいに吸ったりしたし。

でもね…。

彼ったら全然感じてくれない

不感症かよっ!

それで、つい言ってしまった。

SM興味ある?

そしたら彼が興味を示した。

とかいいよね」

そうかそうか…彼ってSM嗜好だったのかぁ~。

わたしに挿入するのではなく、わたしに縛られたかったのかぁ~。

それなら…。

わたしのフェラじゃ、物足りなかったよね。

乳首責めだって…甘噛みじゃなくて、もっと歯を立ててあげたらよかったのかな?

彼の嗜好がわかると、なんだか彼が可愛く思えてきた。

紐…Ama●onで買っておこうか?

わたしは問いかける。

「色々あるし。調べて俺が買っとくよ」

そうかそうか…縄一つ選ぶにしても、こだわりがあるのね?

わたしと彼との付き合いが、もしかしたら変わってしまうかもしれない。

わたしはSMはしたことない。

そりゃ、元彼にタオルで手を縛られたり目隠しされたことくらいはある。

でも、そんなの全然SMじゃないよね?

彼はどんな縄を持ってくるんだろう?

わたし…女王様になってしまうの?

彼がわたしのこと「●様~」なんて呼ぶようになるのかな?

そのうち鞭とか買って。

「この汚らしいブタめ!」

とか言って、おしおきするようになるのかな?

そんなコトを考えている間に、デートの日となった。

いつものように、新宿駅で待ち合わせ。

いつものように、コンビニでお酒とおつまみを買って。

いつもと同じホテルへいく。

サービスタイム3時間。

空いてる室で一番安いお部屋。

いつものように彼がお金を払い。

いつものようにROOMに入った。

「荒縄もいいんだけど、最初だし。痛くない方がいいと思ってさ」

部屋でお酒を飲みながらくつろいでいると、彼は鞄から袋を取り出し話し出した。

ついにSMの縄の登場だ。

わたしが全く縄の話題を出さなかったので、きっと彼は待ちきれなかったのだろう。

彼は嬉々として…。

赤い縄を取り出した。

明るく鮮やかな朱色。

1.5㎝ほどの縄が綺麗に束ねられている。

「さあ…服を脱いで…」

彼が熱っぽくささやく。

わたしは言われるがままに服を脱いだ。

おっぱいが肌寒さにキュンと勃ったような気がした。

ショーツに手をかけ、引き下ろす。

彼とは何度もエッチをしているけど、ショーツを脱ぐときは、なぜか背を向けてしまう。

シュル…シュル…。

縄のすべる音がする。

背を向けているわたしの首に縄が乗せられた

縄は肩口から前へと垂れ下がり、おっぱいをくすぐる。

思ったよりも長い。足下に余った縄が束になっている。

「白い肌に赤い縄…とっても綺麗だよ」

珍しく彼がわたしをほめてくれた。

そっと頬にキス。

そして…。

赤い縄を、わたしの首元で結んだ

「え? なんでわたしで縛るの?

「なに言ってんだよ? SMしたいって言ってたじゃない?お前のこと縛るに決まってるじゃん」

え~なになに?

わたしが縛られる方なの?

そんなの無理。痛いのイヤだ。

鏡を見ると、デコルテの間に結び目がある。

おっぱいのあいだを赤い縄が、まっすぐに垂れている。

こんなのイヤなのに…。

わたしは赤い縄を綺麗だと感じていた

つづく。

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藍川じゅん

元ピンサロ嬢。アダルト誌にてコラム連載中。著書『大好きだって言ってんじゃん』(メディアファクトリー)が好評発売中。




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