和泉は僕の右手をそっと掴むと、自分の胸に当てた。熱くて柔らかい。そして、ひどく鼓動が早かった。おそるおそる指を力を込めると、ふにっという感触と共に和泉が「あっ」と小さく 声を上げた。
(あっ…ん、気持ちいい…っ)
女子とこんなに密着したのも、ましてやおっぱいを触らせてもらったのも初めてだった。乳房の感触と喘ぎ声と和泉の顔だけで、すでにパンツが先走り液でビショビショに濡れていた。
(も、ダメ、我慢できない…っ、早く見て…)
和泉はよろめくように便座の蓋の上に座り、素早くショーツを脱いで足首に引っかけた。
スカートをめくり、脚をひろげる。
生まれて初めて見る女性器は、不安になるくらい小ぶりで恥肉も陰毛もテラテラと光っていた。
(ここ…グショグショになってるの、わかる?)
(うん、すげえ濡れてる…なんか、中からどんどん 出てる)
(私、ずっと、誰かに自分のオナニーを見て欲しかったの…)
自分の肉襞をなぞり、和泉の身体は電流が流れたみたいにビクンと震えた。
(ああっ…気持ちいい…どうしよう、なんかすごい興奮してる…)
左手で乳房をわし掴みにし、シャツの上から指先で乳首をコリコリと刺激した。僕は股間が痛いくらい張り詰めていたが、頭が真っ白でただ茫然と立ちつくしていた。
(はぁっ…、ねえ、お願い…もっと近くで見て…)
ゴクリと固唾を飲み、便器の前にしゃがんだ。僕の目の前で、和泉はぬかるんだ淫裂を指で広げた。
(ここ…こんな匂いするんだな…)
(恥ずかしいな…でも中から溢れてきちゃう…)
割れ目の上の方にある小さな肉の突起が充血しているのがわかる。指に愛液を絡ませるたび、ピチャピチャと音がした。1年生の女子が聞いたのはきっとこの音だろう。和泉はぬるぬるになった指でクリトリスを激しく擦り、淫らに腰を動かした。
(はあっ…私のいやらしいおま●こ、もっとよく見て…っ!)
とうとう辛抱できず、僕はいきり立ったペニスを急いで引っ張り出した。真っ赤に怒張した陰茎を懸命に擦りながら、もう片方の手でトイレットペーパーをカラカラと何重も取り、亀頭にあてがう。
(あっ、あっ、イクッ…もうイッちゃう…ッ!)
(うぅっ…っ!)
(――――――っ!)
トイレットペーパーの中に熱い精子をぶちまけた。ペニスがいつまでもドクンドクンと脈打っていた。今まで味わったことのないような激しい快感に、前かがみのまま動けなかった。
和泉は開脚したまま硬く目を閉じ、余韻に浸っていた。足の付け根まで愛液にまみれている。2人の吐息が静かな個室内に響く。
「ああ…気持ちよかったぁ」
和泉がため息をつきながら急に声をあげたので、ビックリしてシーっと指で唇におさえた。(ふふ、ごめん)と、笑う。その顔を見たら、たった今射精したばかりなのにまたムクムクと膨らみ始めてしまった。
和泉の手が、拭いたばかりの陰茎を包み込んだ。
(ちょっ、和泉、やめ…!)
制止しようとしたが、すぐに諦めた。女子の小さく柔らかい手で擦られると、身震いするほど気持ちいい。僕もお返しとばかりに和泉の恥部に手を伸ばす。
(あぁんっ…やだ、イッたばっかりだから…)
(俺だってそうだよ)
僕らは狭い個室の中で向かい合い、お互いの性器を弄った。和泉の肉壁は驚くほど熱くなっていて指先をギュウギュウ締めつけた。
(あっ、あぁっ、ダメ…そんなにしたら私またイッちゃうよ…)
(やばい、俺もすぐ出そう…)
(はぁっ…んんんっ…)
今度は僕からキスをした。舌を絡ませると身体の奥がジンジンして膝から崩れ落ちそうになる。和泉はすがるように僕に身を寄せ、右手の動きをさらに早めた。
(あっ出る、出る…っごめん、出しちゃうよ)
(ああっ…気持ちいいっ…イクッ…あっあっあぁっ…!)
和泉が大きく身体を震わせ、僕の胸に頭をぶつけたのと、彼女の手の中に射精したのはほぼ同時だった。
「北校舎のトイレでオナニーしている女子がいる」という噂は、その後聞かなくなったが、「教員用トイレでオナニーを見せ合うカップルがいる」という新たな噂が流れるようになった。
藍川じゅん
元ピンサロ嬢。アダルト誌にてコラム連載中。著書『大好きだって言ってんじゃん』(メディアファクトリー)が好評発売中。