磯部は、テーブルの脇に敷かれた布団にもぐりこみ、半分空いたスペースを笑顔でポンポンと叩いた。胸元が少しはだけ、非常用ライトが二つの膨らみの影を色濃くしている。「据え膳食わぬは…」という言葉が頭をよぎり、植村は喉を鳴らした。
せんべい布団に並んで寝ると、体の左側に磯部の体温を感じて熱かった。
「なんか修学旅行みたいですね」
「修学旅行で女子の布団に入ったことないですよ」
アハハと磯部が明るく笑った。磯部さんは、好きな男子の布団にもぐり込んでいたのかな、と植村はふと思った。磯部が胸元に頭を乗せると、シャンプーの匂いが香った。密着した部分の全てが温かく柔らかい。吐息がかかるほど顔を寄せて、磯部は言った。
「キスしていいですか?」
「…磯部さん、酔ってますね」
「そんなことないです。ムラムラしてるだけです」
キスすると、微かにビールの苦みが広がった。舌を絡めているうちに、頭の芯がボーっとしてきて、「本当にいいのだろうか」という迷いが消え去ってしまった。
磯部は植村の耳や首筋に唇を這わせ、乳首を口に含んで舌で包み込んだ。手が浴衣の中に侵入し、脇腹から腰骨にかけて指先でなぞる。柔らかくて切ない刺激に、思わず声が漏れてしまう。いい年したおっさんが、若い女性に攻められて喘ぐなんて情けないと思ったが、植村が声を出せば出すほど、磯部は喜んだ。
「植村さん、可愛い。もっと聞かせて下さい」
「はぁっ…ううっ」
屹立した硬い竿を、ボクサーパンツの上からしごく。亀頭をこねたり手の平でさすったりされると、気持ちよくてじれったくて身体をよじった。
「もうパンツびしょびしょですね。どうして欲しいですか?」
「ふっ…うあぁっ」
「直接触って欲しい?」
植村は、コクコクとうなづく。磯部はおもむろに自分のパンティを下し、シックスナインの体勢で植村の顔の上にまたがった。
「私のことも気持ち良くしてくれたらいいですよ」
磯部の卑猥な肉弁が丸見えになっていた。毛は少なく、濡れそぼった秘孔がヒクヒクと欲しがっているのがわかった。柔らかな肉に唇を押しあて、夢中で酸味がかった蜜を吸った。
「ああっ…いいっ、植村さん、気持ちいいですっ」
喘ぎながら、ボクサーパンツに手をかける。勢いよくブルンと飛び出した男根を、愛おしそうに手でしごいた。
「うぅっ、あっ…」
「あぁん、パンパンになってて、やらしい…」
「んんっ、んっ、うぅっ」
磯部は陰茎を奥まで咥えこんだ。温かな舌がうごめいて、筋にまとわりつく。カリの周りを舐め回すと、植村の内腿がビクビクと反応した。互いの粘膜を舐め合う音が、暗い部屋に響いた。
磯部は、植村の唇が好きな場所にあたるように腰を動かした。その動きが小刻みになり、絶頂が近付いているとわかった。ついには陰茎から口を離してしまった。
「あっ、あっ、やだ、もういくっ、いくっ、私、いっちゃう…っ!」
声にならない声をあげ、磯部は2・3度身体を震わせた。「ふふ、すぐいっちゃった…」
恥ずかしそうに笑うと、磯部は顔面から退き、植村の口の周りにべっとりとついた自らの愛液を舐め取った。
そのまま首、脇、乳首、へそ、脇腹へと移動 し、再びいきり立った秘茎へと舌を這わせた。
藍川じゅん
元ピンサロ嬢。アダルト誌にてコラム連載中。著書『大好きだって言ってんじゃん』(メディアファクトリー)が好評発売中。