「ゆうべのこと、ほんとに覚えてないの?」
「は、はい…すみません」
「別人みたいだったよ。エロくってさあ、自分から腰ふっちゃって」
「嘘です、そんな…」
「今だって、自分で触ろうとしてるじゃない」
股間に伸ばしかけた手を掴まれ、ハッとした。こんなこと、人前でしたことないのに。
まだ酔っているのだろうか。
大島課長は、私の手を自分の熱く膨張したものにあてた。
「えっ、すご…」
硬い、と言おうとして唇を塞がれた。
課長はゆっくり舌を絡ませながら私の濡れた陰肉を指で優しく撫でた。
「濡れやすいんだね、もうビショビショになってる」
「んん…っ、あっ…気持ちいい…です」
「ゆうべも前戯してないのにいきなりヌルッと入っちゃったしね」
「えっ」
「え、じゃないよ。君が俺の上に乗ったんじゃない。全然覚えてないんだなあ」
すみません、と再び謝ろうとしたが、課長の指がゆかるみの中に侵入して言葉を失った。
内側の、一番好きな部分を擦られて、内腿に力が入る。
「あっあっ、そこ…そこすごく好きです」
「すごいな、中からどんどん溢れてくるよ。ここそんな気持ちいい?」
「いいです…っ! あっ、これ以上…気持ち良くしたら、すぐイッちゃいますっ」
課長は「いいよ、何回でも」と微笑み、指の速さや力加減を変えずに同じペースで刺激し続けた。
「あっ、あっ、イクっ、イキそうですっ」
一瞬、大島課長の目に不思議な光が灯り、顔が真剣になった。私の手の中の陰茎がより膨らむのが分かった。
「あっ、ああー…っ! イクっイクっイクっ!!」
汗がドッと吹き出て、足の先がピンと伸びた。波が引くまで、体が何度か大きく痙攣した。
課長の鈴口から大量のガマン汁が垂れて、私の手のひらがヌルヌルになっている。
私は股をはしたなく広げると、いったばかりの濡れそぼった肉襞を自ら指で開いておねだりをした。
「大島さん…早く、早くここに挿入て下さい…っ」
大島課長の顔からいつのまにか余裕が消え、無言でゴムを装着した。
しばらくピタピタと亀頭を擦り付けてから、一気に挿入した。
「はあっ…ん!」
課長の怒張した陰茎は長く凶暴で、動くたびに子宮口にガツガツと当たるのがわかる。
「牧野ちゃん、ごめん、俺なんか我慢できなさそう。すぐイっちゃうかも」
「ダメッ!! まだイっちゃダメです」
「牧野ちゃんがいけないんだよ、こんなエロい身体してるから」
課長は私の身体を裏返した。
バックから再び激しくピストンされ、私は狂ったように喜びの声を上げた。
「もっと!もっと突いてぇっ!」
片手を後ろに引っ張られ、上体を起こすと目の前の鏡台に映った自分が、まるで別人のように感じられた。
髪を振り乱し、たわわな乳房を上下に揺らし、欲望のままに腰を振る淫乱がそこにいる。
昨晩課長を襲ったのは、この女だと思った。
「気持ちいい…っ、中が、中がすごい熱くなってきた…っ」
「イっていいよ、牧野ちゃん、イって」
「ああっ、熱いっ…イクっ、イっちゃう!」
「ううっ…」
「…っ」
大島課長はしばらく後ろから私を抱きしめ、繋がったまま荒く息を吐いていた。
やがてズルリと陰茎を引き抜き、ゴムの口をしばった。
「牧野ちゃん、すごいな…。全部搾り取られるかと思ったよ」
私は、寝そべったまま愛液でベタベタに濡れた課長の陰毛を撫で、空っぽになった2つの玉を優しく揉んだ。
「いやいや、さすがにもう無理だからね」
たじろぐ大島課長に、今度は私が微笑みかける。
地味で内気な事務員の私は、もうどこにもいなかった。
藍川じゅん
元ピンサロ嬢。アダルト誌にてコラム連載中。著書『大好きだって言ってんじゃん』(メディアファクトリー)が好評発売中。