隣人の男は、乱暴に私の唇を塞いだ。
しかし、舌の動きは優しく官能的で、まるで恋人同士のキスのようだ。
嫌がるふりをしながら、それを受け入れ、下腹部がさらに熱くなるのを感じた。
男は、私のシャツの中に手を入れて捲り上げると、ブラジャーをずらした。乳首を摘み、人差し指でこすって刺激を与える。
それでなくても乳首はカチカチに尖っていたので、気持ちよすぎて痛いくらいだった。
「ああっ、もう…ほんとにやめて…」
「やめていいんですか? すごい気持ちよさそうな顔してんのに」
両手の自由を奪われたまま抗おうとして、腰をくねらせ、尻を男の股間に押し付けてしまう。私は、もう欲しくてたまらなくなっていた。
男は私の部屋着のズボンを下ろし、パンツをずらして無造作に指を入れた。
「っ! ああっ」
「何これ、ドロドロじゃん」
冷たく笑われると、自分でも驚くくらいマゾヒスティックな喜びが身体から溢れた。
もっと蔑まれて雑に扱われたいとすら感じた。
後ろでベルトを緩める気配がする。とうとう私にも順番が回ってきたのだ。恍惚として目を閉じた。
男は巨大なペニスを数回擦り付けただけで、前触れもなくいきなり奥まで挿入した。
「ああっ、大き…っ」
いまだかつて体内に挿れたことのないサイズのものが、突然私の膣を貫いた。しかし、私のだらしない肉はそれを大喜びで受け入れていた。
ドアに両手をつきながら、うわ言のように「すごい、大きい」と賞賛の言葉ばかり繰り返す。
突然、男が手の平で臀部をしたたかに打ち付けた。
「きゃあっ」
ピシャッと小気味良い音が響くたび、私は恥肉を震わせ、涎を垂らした。
大きく長い陰茎が膣壁を擦る喜びと尻を叩かれる屈辱感とで、おかしくなりそうだった。
「ああっ、もっと…」
「もっとなんですか」
「もっと、叩いて…」
「叩いて下さい、だろ」
「た、叩いて下さい」
「『盗み聞きしながらマンズリこいてた豚のドスケベな尻を叩いて下さい』」
「ぬ、盗み聞きしながら…マン…」
「聞こえねえよ」
肉棒を引き抜こうとするので、私は慌てて言い直した。
「盗み聞きしながらマンズリこいてた豚のドスケベな尻を叩いて下さいっ」
ビシャン! とさらに大きな音と共に、亀頭が子宮口を突き上げた。
「くぅっ、ああっ!」
「喜んでんじゃねえよ、豚」
「あっ、あっ、ごめんなさい…! 気持ちいいです…!」
スパンキングのたびに「ごめんなさい、ごめんなさい」と謝った。
もはや自分でも何に謝っているのかわからなかった。
「ああっ…、もうイク…っ! ごめんなさい、イキます…っ」
男は低い声で「出る」と呟いた。
「ああっ、出して…! 私の中に精子いっぱい出して…!」
「うっ…」
男の大きな亀頭の先から勢いよく精子がほとばしるのとほぼ同時に、目覚まし時計が鳴った。
私はいつもの通り布団の中にいた。隣室は静かで、何の音も聞こえない。
またオナニーし終わったのと同時に寝てしまっていたらしい。
ベッドの脇に転がっていた黒いバイブを拾い上げ、小さくため息をつく。
今日からベッドの位置を変えようと思った。
藍川じゅん
元ピンサロ嬢。アダルト誌にてコラム連載中。著書『大好きだって言ってんじゃん』(メディアファクトリー)が好評発売中。