「根元まで全部入っちゃったよ…?」
兄の囁き声が、子宮を刺激する。
それが彼女に向けられたものだとわかっていても、男の低い声に興奮してしまう。
「ともくんのチンポ、大きくて熱くて気持ちいいのお」
「美雪ちゃんのまんこ、ギュウギュウしめつけて押し返されそうだよ」
「っっひ…あっ」
彼女も、兄に合わせて必死に声を絞る。彼女のくぐもった声が、うわ言のように兄の名を呼んでいた。
小声で愛を囁きあう男女の声が、こんなにも官能的だなんて、知らなかった。
私は、自分の口を左手で抑えながら、中指をぬかるんだ膣に挿入した。
(ああっ、兄貴の太いチンポが…おまんこに出たり入ったりしてる…っ、チンポがこの中に…!)
激しい息遣いと、擦れる体液。それらの音が一定のリズムで聞こえ始め、私はそれに合わせて指を出し入れした。
「はあっ、あっ…ともくん、お願いっ、後ろ…後ろから犯してぇ」
後ろから。
エロ本で何度も見た体位だ。正常位で足を大きく広げているのもいやらしいが、犬みたいな格好で喘ぐ姿も興奮する。
ズチュッという音と共に「ひ…っ」と短い悲鳴にも似た喘ぎ声が響いた。
「あんっ、や、あ…っ急に…激しっ」
「う…わ、やべー、やっぱバック超気持ちいいね」
「あっ、あっ、ダメ、そんな動いたら…っ」
さっきよりもはっきりと肉と肉がぶつかる音がする。
(今、後ろからチンポをズボズボはめられてるんだ…獣の交尾みたいに…)
指先をさらに肉に沈ませ、兄のピストンの音に合わせて激しく動かした。
ザラザラした壁を擦るたび、お腹の底から波が押し寄せ、指がぎゅっとしめつけられる。
(あっ、気持ちいいっ、おまんこ気持ちいいの…っ)
「うわ、中からすげーダラダラ垂れてくる。もうイキそう?」
「いいっ…はあっ、これっ、イッちゃう、すぐイッちゃいそうっ」
「深雪ちゃん、こここうされるの好きだよね?」
「ひ…あっっ!!」
抑えきれない喜びの声があがった。しかし、ピストンは続いたままだ。
私の指はますますクチュクチュと肉をかき分け、頭と内股が痺れ始めた。
「や…あっ…ともくん、今イッてるから…! 動かないでっ…休ませてぇっ」
「ごめん、止められんない、俺ももうすぐイキそう」
「あんっ、ダメっ、だめっ、またイッちゃうからっ」
「あー深雪ちゃんの声、超エロい、もっと聞かせて」
「チンポ、チンポ気持ちいいの…っ、も、ダメッ…変になる…っ!」
「あー、ダメだ、やばい、すげー気持ちいい…っ!」
「イ…くっ、またイッちゃ!!」
「く、出る…っ!
(…っっ!!)
2人が果てるのと同時に、私も2度目の絶頂を迎えた。
兄と彼女は、しばらくイチャイチャしてから部屋を出て行った。
2人が風呂に入り始めたことを音で確認してから、素早く押入れを抜け出し、
そっと隣の自室に戻った。頭から布団をかぶった途端、改めて全身から冷や汗が吹き出した。
バレなくてよかったという安堵感と、本物の変態になってしまったのではないかという恐怖感。
それとは別に、いっそ見つけてくれればよかったのにという投げやりな気持ちもあった。
歪んだ喜びと苦しみから、早く解放されたかった。
股間に手を伸ばすと、恥孔はまだ熱く疼いていた。
長時間座ってオナニーしていたので、押入れの床に愛液の染みがついてしまったかもしれない。
それを見つけて困惑する兄の顔を想像し、布団の中でニヤリと微笑んだ。
押入れオナニーは、しばらく続きそうだ。
藍川じゅん
元ピンサロ嬢。アダルト誌にてコラム連載中。著書『大好きだって言ってんじゃん』(メディアファクトリー)が好評発売中。