彼と映画に行く約束をした。
たまの休みの平日の昼間。話題のミュージカル作品だけど、平日昼間なら、さすがに空いているだろう。
でも、映画って時間を合わせるのが面倒くさい。
作品ごとに上映開始時間が違うし(そりゃそうだろうけど…)、上映10分前でないと館内に入れないし(ロビーで待つのがうっとうしい…)。
だからといって、ギリギリに行くのは怖い。
わたしは映画は最初からきちんと観たい!
というわけで、ちょっと早めの待ち合わせにした。
丁度天気は良いし。街をぶらついて、ランチしてから映画館という流れを考えていた。
なのに!
彼は妙な提案をしはじめた。
「映画館ってビール高いだろ?ビールのLで800円って、居酒屋のジョッキより高いし!」
だからさ、と彼は言った。
「ここ、ランチビール安いし。映画までちょっと呑んでいかない?」
…って、まだお昼だよ?
わたしは映画はお酒なしで、ちゃんと観たい。
でも、ミュージカルとか…彼は退屈なのかな?
それに、800円のビールは確かに高い!
なら…。
「ちょっと寄っていこうか!」
ということになった。
安売りで有名な巨大雑貨店の向かいの地下に居酒屋があった。
そのお店の売りはビールが激安なとこ。
お店の看板にはおつまみの宣伝がいろいろ書かれている。
リーズナブルなお値段。
看板をみている私をおいて、彼はお店に通じる階段をズカズカと下りていく。
昼間っからお酒なんて…と思う反面、休日なんだなぁ~という解放感を感じる。
地下のお店だけに、店内はちょっと薄暗い。
店内は、ほぼ満席。昼間っからお酒呑む人って、こんなにいるの?
おじさんが多い印象を持っていたけど、結構女性客がいる。
お年を召した女性もいれば、ご夫婦(かな?)、また女子会らしきグループもいる。
店内は混んでいるため、私たちはロフト席へ通された。
ロフト席は、プチお座敷な感じで、足を中途半端に崩すことができる。
ロフト席は他にお客もいないので、私たちは隣り合って座った。
地下の店内は窓がないため、とても昼間とは思えない。
みんなガヤガヤと会話を交わし、呑んでいる。
彼は早速ビールを注文した。
わたしは…ウーロン茶にしようかなぁ~と思ったけど、彼に合わせてしまった。
昼間っから乾杯!
彼はジョッキを、ほぼイッキ呑みした。
学生かよ!ていうか、今のご時世ってイッキ呑みってNGなのでは?
わたしがチビチビ呑んでいると、彼は二杯目も飲み干してしまった。
こんなペースで映画大丈夫なのかな?
彼が私の太ももに手を置いた。
下のフロアから見えるわけもなく、彼はたわいのない会話をしながら、ゆっくりと私の太ももを撫でる。
膝頭から、指先を立てて、ゆっくりと太ももの付け根の方へ…。
ゆっくりと…太ももに手を這わせる。
スカートがまくれるが彼は気にしない。
股の付け根に近づくにつれて、指をももの内側へとずらす。
そのまま指は根本に近づく。
指の側面が、わたしのアソコに当たる。
「んっ!」
おもわず声がでてしまった。
最近、エッチしてなかったし…
こんなに多勢いる、お店の中で、触ってくるなんて…
彼の指はあれているのだろうか?
ストッキングに、わずかに引っかかるような感触。
ももの付け根のふくらみに沿って、手をゆっくりとすべらしている。
私はまわりが気になってしまい、彼のイタズラに集中することができない。
彼は、
「ん…なんか湿度が高くない? 蒸れてる気がする」
なんて、イジワルなことを言う。
でも、自分でも分かっている。
アソコ…濡れている。
すべらしてた手を止め、指先でアソコをかき上げるような刺激を与えてきた、
「ふ…ん…」
直接的な刺激じゃないのに、クリ●リスがビリビリと痺れる。
こんなんじゃ、刺激が足りないよぅ…ショーツも、ストッキングも履いているのに。
アソコ…閉じてるし…クリ●リスだって皮に覆われてる。
なのに、もどかしい刺激がじんわりと広がっていく。
内ももを走る、くすぐったいような刺激と、もっと強く、直接刺激されたい欲望が入り交じりだす。
その時、トントントンと新たなお客が階段を小気味よく上がってきた。
さっと彼は手を引っ込める。
私は、バレないように、こっそりとスカートの裾を正した。
「そろそろ出ようか?」
彼がニヤリと微笑む。
私は顔が赤いに違いない。
でもそれは、お酒のせいだけではないだろう。
つづく
藍川じゅん
元ピンサロ嬢。アダルト誌にてコラム連載中。著書『大好きだって言ってんじゃん』(メディアファクトリー)が好評発売中。