なかなか寝付けなくて網戸越しに夜空を眺める。どれが何の星座かはわからない。
今日は東京と千葉に住んでいる叔父一家と叔母夫妻が泊まりにきている。
うちは古い家なのでふすまをとってしまえば応接間で大宴会できるくらいの広さになる。自然と人が集まりやすく、私の両親は来客の予定があると何日も前から張り切って酒やごちそうの準備をする。
お客さんが来る前の、家の中がそわそわと浮き足立つ感じが好きだった。普段会えない親戚たちと近況を話し合うだけでも、この退屈な田舎では刺激的なことだった。
タオルケットを頭からかぶっているうちに、いつのまにか眠りに落ちていた。
ふと目を覚ますと、鈴虫と蛙の鳴き声ばかりで笑い声は聞こえない。タオルケットから顔だけ出して柱時計を見る。もうすぐ午前4時。みな飲み疲れて寝てしまったのだろう。
誰かが二階へ上がってくる音がする。お母さんだろうか。彼女ならどんな時間帯でも無遠慮な足音をたてるはずだ。ギ…シ、と慎重に床を踏むのがわかる。その人は、部屋の扉を静かに開けた。
「亜希ちゃん、起きてる…?」
泰生叔父さんの声だった。泰生叔父さんは祥子叔母さんの夫で、私の父の義理の弟にあたる。
タオルケットの中で横向きのまま身を縮こませ、寝たふりをした。
小さい頃から泰生叔父さんは私の憧れの人だった。目鼻立ちがくっきりしていて体が大きくて、いつも冗談ばかり言ってみんなを笑わせていた。たまに関西の訛りが出るのも新鮮だった。叔母夫婦が来ると、いつも泰生叔父さんにくっついて回っていた。
私は発育がよく、中学を卒業する頃になるとFカップのブラでもきつく感じるようになった。叔父さんの目が私の胸を追っているのはなんとなくわかっていた。
叔父さんは、みんなが見ていない隙に私の腰に手を回したり、机の下で太ももを触ったりした。私はそれを嫌だと思わなかった。
高校2年の時に付き合っていた彼氏と初体験をそれなりに済ませたけど、叔父さんに身体を触られた時の方が興奮した。もっと触って欲しいと思った。
畳がギッと音を立てる。泰生叔父さんが私の布団に近づき、横に寝そべるのがわかった。顔のすぐ横でお酒の臭いがする。
(…っ!)
叔父さんの手が私の腰に触れた瞬間、声をあげそうになった。どうしたらいいかわからなくて寝たふりを続けた。
タオルケットの下で腰から太ももにかけてゆっくり愛撫し、私が抵抗しないのを確認すると、お尻を優しく撫で回し始めた。パジャマの薄い生地から叔父さんの熱い手の感触が生々しく伝わってくる。
(怖い…でも…もっとちゃんと触って欲しい…)
肩や腕、腰からお尻、太ももからふくらはぎまで、叔父さんは何度も何度も私の身体を撫でた。二の腕を撫でていた叔父さんの手が、ふいに乳房に伸びる。 下乳のラインを指先でなぞり、指の腹で優しく乳輪を刺激する。
「……んっっ…」
思わず顔を枕に埋めた。寝返りを打つふりをしてタオルケットを退かし、乳房を揉みやすいように身体の向きを変えた。
突然、叔父さんは私のパジャマを強引に捲り上げ、白い乳房に吸い付いた。
「っ…!!」
ビックリして身体を震わせる。叔父さんは私の反応などおかまいなしに唾液をふくませ、ピチャピチャ音をたてて乳首をしゃぶった。
(いやあ…っ、恥ずかしい…!)
「ふっ……んん……っ」
「亜希ちゃん、感じてるんだね…もうコリコリになってるよ…」
乳首を弄りながら、叔父さんは私の耳元で囁き、耳の中に舌を入れた。
「っ……んっ!」
目を合わせてはいけないような気がして、私は頑なに瞼を閉じ、寝たふりを続けた。
藍川じゅん
元ピンサロ嬢。アダルト誌にてコラム連載中。著書『大好きだって言ってんじゃん』(メディアファクトリー)が好評発売中。