女友達と居酒屋で飲んでいたら、たまたま、あっちの話しになった。
えっち話。
友達は結構フランクに、自分の性体験を話す。というより、愚痴に近いかも。
私はもっぱら聞き役だ。彼はいるし、いろんなえっちもしているから、ネタに困る事はない。
けど、友達も別に会話がしたいわけではなく、いま思いついたネタを話したいだけに違いない。
けれども、友人のネタは濃い。膣イキができないとか、おしりでしたとか。ちなみに友達は、おしりの中に出されると、翌日お腹を下すそうだ。
友人の彼氏は、お腹を下したかどうか確認してくるらしい。それで「下した」と話すと、無茶苦茶よろこぶそうだ。その彼…Sっぽい。
今日の話しも唐突にはじまった。きっかけはゴーヤチャンプル。ビール飲んで、ハイボール飲んで、梅サワーを飲んでいたころだ。注文したゴーヤチャンプルが出てきたので、ひとくちつまんだ。
「あ~苦い! ゴーヤチャンプルって苦いよね」
と私が話すと、彼女は、
「苦いと言えば精液でしょ」
と返した。私は思わず、
「え? あれって苦いの?」
と聞き返していた。
「苦いじゃん…ていうか、彼氏の苦くないの?」
「私…飲んだ事ない」
「うそ、マジ? なんで? ていうか、フェ●しないの?」
「フェ●はするよ」
「大きい?」
「ん…小さい方だと思う。前のヤツ、ほら、K大の。あれはでかかった」
「どれくらい?」
「なんか、先っぽがデカイの。フェ●してて、アゴが疲れるくらい」
「え~いいなぁ~。一度くらいデカイのとやってみたいな」
「え、痛いよ。でも私はでかいのより、長い方が好きかも」
「今彼は長いの?」
「ん…ひょろ長い。500円玉くらいしか太くないクセに、なんか長いの」
「へ~長いんだ~」
「長いよ~。お腹に当たる感じ」
「マジ? 膣イキできる?」
「できる。ていうか毎回お腹に当たって痛いくらい」
「長いんだ~。私は普通の長さだな。あ、てか何で飲まないの?」
「だって、なんかイヤじゃない?」
「私は飲むけどな。なんか愛おしいジャン」
「彼さ、包茎だから、なんかね」
「包茎ってくさくない?」
「そんなに臭いはキツイ方じゃないと思うけど…臭い」
「だよね~。なに? 臭いから飲まないの?」
「だから、イヤなの」
「元彼のは飲まなかった?」
「ん…飲んでない」
「でも飲んでとか言われない?」
「言われる。全力で嫌がった。ていうか、飲むより普通にセックスする方が気持ちいいし」
「ウチの彼、手抜きセックスだし。早漏だし。そのくせ、ゴムは嫌がるし」
「うわっ、やばくない?」
「やばい。だからフェ●しちゃうんだよね」
とりとめもなく猥談を続ける。
私はフェ●は好きだ。
彼のは臭いけど、皮をずり剥いて、チン●の裏側の筋を舐めたり、軽く歯を立てると、彼が声を漏らすからフェラは辞められない。
でも、それだけだ。チン●が好きで好きでたまらない訳じゃないし。前に口に出された事はあるけど、ティッシュに吐き出した。
「なんで飲まないの?」
と彼が聞いてきたから、私はキスをした。
口に残っているツバを、精液がまじっているツバを彼の唇に流し込んだ。
「うわっ! 汚ね!」
手で口をぬぐい、汚れをシーツで拭いている彼に言った。
「汚いって思っているのを飲ますのってどうよ?」
それ以来、彼が精液を飲まそうとすることはなくなった。まぁ…自分で嫌な物は彼女に飲ますべきじゃないよね。
でも、私にも気になる事はある。それは、
「精液ってどんな味すんの?」
友人は、
「よくわかんない…でも、苦い感じかな?」
「へ~苦いんだ」
「濃い~感じの人もいるし、うすい感じの人もいるけど、だいたい苦い感じかな?」
「濃いとか、うすいとかって、脂ぎった人は濃いとか、法則あるの?」
「う~ん…ホントかウソかは知らないけど、肉好きは濃くて苦い、魚好きは生臭い、とか聞いた事ある」
「自分のとは結構違うのね」
「自分のって…。あんたオナニーして自分の舐めたりしてるの?」
「違うって。イッたあとにお掃除フェ●させられたときに、自分のってなんか塩っぽなって思ったから」
「ああ、そういうことね。確かに塩っぽい人もいたかもしんない」
「ていうか、随分飲んでるのね?」
精液の話でお腹いっぱいになってしまった。
そして、ほんの少しだけ、彼の精液は苦いのか?
興味がわいてしまった。
つづく
藍川じゅん
元ピンサロ嬢。アダルト誌にてコラム連載中。著書『大好きだって言ってんじゃん』(メディアファクトリー)が好評発売中。