「は?風俗嬢に怪我?何それ?」と思ったアナタ。
「病気の間違いじゃないの?アヤさん」
うん。そうね。病気は未然に防げますよね。しかし風俗嬢も思わぬことで大怪我をすることもあるのです。
ちょっと、アヤの大惨事を聞いてやって下さい。
…あれは5年前の冬。
ものすご~く寒かった。手足もガチガチに硬直するほど。
デリヘルはこの時期、寒くてこたえるわ。
そんな中、あたしが向っていたのは、他のデリヘル嬢が声をそろえて「絶対行きたいくない!」って言うホテル。
本当に狭くって、二畳くらいの居間に割と大きめの角張ったガラスのテーブルとか。
「狭っ!」あたしは入るなり舌打ちをし、ソファーに所在なく座っているお客さんに目を向けたのね。
ええええ!
声には出さなかったけれど、130キロくらいはありそうな巨漢。
2人掛けソファー独り占めって感じ。あたしは何処に座れば…?と首を傾げるも、お客さんはゆったりとした口調で「90分ね」とだけ言って、「よいしょっ」と重たい図体を起こし「狭いだろ、先に風呂行くよ」と。
あたしは「はーい」と間延びした返事をし、ゆっくりとお客さんの待っている浴室に行ったのね。もちろんすごい狭くて。お客さんに、「アソコ、洗いますので上がって下さい」と、お風呂から出るよう言ったの。「ああ」と、これまた動物園の象みたいに動作が鈍い。
時間もすでに押していて、チャチャチャと洗ってベッドに誘導したの。
ラブホのベッドがシングルベッドに見えました。
あまりの巨漢に、横につくスペースもギリギリ。お腹はカエルみたいに膨らんでいるし。
辟易しながらもプレイを進めていると、さっきまでお腹に隠れていた逸物がどでかくなり(巨漢は大概チン○が小さいという定見はこの時点で捨てました。白目)、
お客さんが急にむくっと起き上がったの。あたしはその反道でコロンとベッドから転げ落ちてしまった。
サクっ……え?なに?
なんか太腿がものすごく痛いんだけど。
ガラスのテーブルには血液。とっさに鈍痛の走る右の太腿に目をやると、
血が吹き出していたのー!
お客さんもあたしもパニクってあたふたしてた。
タオルを当てても出血は止まらないし寒気と吐き気で顔も真っ白。意識も朦朧(もうろう)としだしてベッドにふらりと倒れこんだの。
「えーどうしよう、どうしよう」と焦っているお客さんに申し訳ないと思いつつも、あたしは最後の力を振り絞って、店長に電話したのね。
「す…すみません、怪我しちゃって」
「待って、今、行くから、お客さんに電話変われる?」。あたしは、携帯をお客さんに渡して目を閉じたわ。
ややあって、店長が到着。開口一番に言った台詞は「大丈夫か」じゃなくて、
「ダメじゃない、もっと、注意して仕事しないと」だった。
あたしは、裸で血だらけ。
当時のデリヘルの店長って元・自衛官だったので手際よく止血を行ったあと緊急病院に。5針も縫ったわよー。店長に「労災おりるの?仕事中だしさ」と聞いてみたけど叱られましたよ。「アヤさんは、もっと慎重に仕事こなさないとダメ!治るまで内勤の仕事やってよ」と。なんやかんやと優しい店長で良かったけれども。
この怪我の後も、お客さんの頭で顔を打ちつけて鼻血が吹き出したり、浴室ですべって頭を強打したりと、散々とやらかしております。
身をもって痛感しています。デリヘル嬢って本当に身体を張る仕事だなぁーって。ね。
注意散漫だと転んだりぶつけたりしちゃうので、いつも緊張感を持って接客しましょうね(あんたに言われたくないわ)アハハ♡
次回は「どうして、既婚者でも風俗を利用するのか?オトコの性の不思議」デス。
エリア別で「デリヘル(デリバリーヘルス)」のお店を検索
藤村綾
風俗歴15年。現役デリヘル嬢。風俗ライター。『俺の旅』ミリオン出版にて『風俗珍講座』連載中!日々炯眼な目で人間観察中。