現役デリヘル嬢のリアル体験~地獄でほっとけ~

現役デリヘル嬢のリアル体験 地獄でほっとけ!

【第42話】ありがとう、また

2015.6.23

プレイが終わり、タイマーが鳴る。

「あ、時間だねー」お客さんは、やばいやばいと焦りながら「シャワー行くかぁー」とあたしを誘う。けど「いいよ。まだもう少しこうしてていい?」とお客さんの腕の中に小さく収まり、上目遣いに甘い声音で聞く。

「でも、時間ないしょ?」

「いいの大丈夫。あと10分あるし」笑顔で答える。

(正直、20分前にタイマーをセットするので、タイマーが鳴っても焦らないあたしである。でも、お客さんには10分前と嘘を吐く)

「いやにサービスいいよねー、普通タイマー鳴るとさっさと着替え出すじゃん」

「あたし時間に焦るの嫌いなんで」あくまで余裕。そして笑顔。

風俗だし時間は決まっている。その時間のお金しか貰ってないし、デリヘル嬢としてそれ以上のサービスをする必要性はまったくない。

が、少しの時間のサービスでも、お客さんは嬉々として喜ぶ。

フフフ。バタバタするよりも、タイマーが鳴ったあとどう行動するかお客さんの満足度も違うのである。

帰り際、「ありがとう、とっても良かったよ」と、割と言われるあたしである。特別なことはしていない。デリヘルという仕事の当たり前のサービスと、当たり障りない会話だけ。それだけでも大概のお客さんは最後に、「ありがとう、また」と言葉をよこし、ときにはまた指名をくれる。

その言葉がくすぐったいけど、それって何に対しての『ありがとう』なんだろう。毎回思うこと。お客さんは安くないお金を払って風俗サービスを受けているわけだし、金額以上のサービスを受けたときに発する言葉かなって。

風俗嬢のサービスが、おざなりでいい加減だともちろんお礼も言われないし、むしろ捨て台詞を吐かれかねない。お客さんもいい気はしないし、とっても嫌な雰囲気になる。どんなことでもいいので「ありがとう」と言ってもらえるように自分なりのプレイ内容を考えておくとお仕事がしやすいかも。

お客さんを見れば、あ、この人はあまり喋りたくない人だなぁー、とか、この人は聞いて欲しい人だなぁーとか。皆一様にデリヘル嬢を呼ぶ主旨が違うのでそこら辺を考慮して接客すれば、必ず満足してくれる。

プレイ中のサービスももちろん大事なんだけど、それだけじゃないような気がします。

まあ、一番悦ばれることはお客さんの愛撫に感じることです。下手な演技はバレるので、ここはお客さんを彼氏と思い込むのです(無理な場合もあるけれども)。そして、たまに背中に腕を回してみたり、キスをせがんでみたり。ときに大袈裟に騒いでみる。お客さんは大変悦びます。「感じてくれて俺も興奮したよ。ありがとうね」と、これまたありがとうと言われますし。風俗嬢はほとんどが劇団淫(員)なので(白目)。

『ありがとう』の意味はそれぞれ。お客さんがどんな真意を込め言っているのかは分かりませんが、1つ言えるのは、着飾らない素の自分をさらけ出し、なにかを吹っ切ったお礼の心の声音かも知れません。デリヘル嬢に求めているのは快楽だけではない。心にある鬱積したものを吐き出したときに本当の『ありがとう』の言葉は発せられるとあたしは思っています。

次回は、「タイプのお客さんとタイプではないお客さん」デス。

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藤村綾

風俗歴15年。現役デリヘル嬢。風俗ライター。『俺の旅』ミリオン出版にて『風俗珍講座』連載中!日々炯眼な目で人間観察中。




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