現役デリヘル嬢のリアル体験~地獄でほっとけ~

現役デリヘル嬢のリアル体験 地獄でほっとけ!

【第50話】「あやのお悩み相談室・お客さん編」

2015.8.18

非現実的な世界のデリヘル嬢。

お客さんは決められた時間の中で、会社でも言えないこと、家庭にも言えないことを、デリヘル嬢のあたしに相談してきたりします。

「え?デリヘル嬢なのに悩み相談?まっさかぁー!」

と、お思いのそこの貴女。意外や意外。とっても多いのです。むろん、欲望を満たす場ではありますが、誰にも話せない悩みを打ちあけられるのも、風俗だったりするのです。

例えば、「あのさ、俺、風俗嬢を好きになって付き合ってんだけど、出会ったのが風俗だからさ、仕事辞めて欲しいんだよね。こうしてる今も彼女、仕事してるし。どうしていいのか分からない」

溜め息を交え、お客さんはそういいながら、あたしに向き直った。

「そういうあなただってさ、あたしを呼んでるでしょ」とは言えやしない。

お客さんの悩みはざっくり過ぎて、分からない部分もあった。しかしその『彼女』は彼を「彼氏」とみなしているのだろうか?はたまた、「仕事の一環として「付き合っている」のだろうか?

お客さんは首を横に振りながら「彼女のことが好き過ぎて辛い」と、うつむきながらつぶやいた。

「彼女とは、性的関係はあるの?」聞いてみる。

「……」お客さんは少し間をあけ、また、首を横に振る。

「え?ないの?」ここであたしの直感が働いた。多分、このお客さんは騙されてる。けれど、口をはさまず最後まで話を聞くことにした。

「彼女さ、シングルマザーで、5歳の子がいてさ、まあ、俺にもなついているんだけど、子どもがいるからどうしても2人きりになれないの。子どもごと面倒みてもいいと思ってるんだけれどねー、本当に」

子どもという単語がますます、騙されてる感をあおる。

よくよく聞くと金銭のやりとりはなく、子どもさんを交えて、食事に行ったり買い物に行ったり、たまにデリヘルの送迎をしたりしているらしい。いやー、それってさ、都合良く使われているんじゃないのかい。色恋営業って言葉、しらないのかい?相談を受けるってことは、何か助言を求められてるってこと。あたしは少し語気を強め、お客さんの悩みに返事をした。

「好きならこの仕事を辞めさせることが先決じゃないの?好きっていう言葉は口では、なんとでも言えるし。風俗で知り合った以上、その猜疑心はずっとついて回る。彼女の過去も含めて、全て受け入れる寛容さが大事。彼女の真意を聞いて行動にうつしたら」

お客さんは黙っている。

眉間にシワをよせつつ、そうだよなぁ。とだけ言った。

「あやさんは、お客さんに惚れたことない。それか、惚れられて断れなかったとか?」

どうだったか・・・。場数を踏み過ぎて忘れてしまった。曖昧に応える(白目)。

「あるよそりゃー。人間だし。好きになったことも、なられたことも。あるよ。けれども、その先はないよって話し」

苦笑しながら肩をすくめた。お客さんを心も身体も気持ちよくさせないといけない仕事なのに、接客ごとにそんなことを考えていては、心も身体も疲弊してしまう。お客さんと、風俗嬢はワンクッションおいた関係が一番いいよね。

このお客さんは女性との接点があまりないと感じた。だから、優しく接する嬢に本気で恋をしちゃったのだ。素直と言えば響きはいいが、バカと言えばバカ。騙し騙されるこの風俗業界。食うか食われるか?的なグレーな業界。なので、このようなお悩みのお客さんは多いです。

「あやちゃんのことが好きー」と軽口を叩くお客さんは今の所、いませんわ。

何故なら、言わさないオーラを放っているから!なぁーんて。笑

次回は『あやのお悩み相談室・デリ嬢編』デス。

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藤村綾

風俗歴15年。現役デリヘル嬢。風俗ライター。『俺の旅』ミリオン出版にて『風俗珍講座』連載中!日々炯眼な目で人間観察中。




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