現役デリヘル嬢のリアル体験~地獄でほっとけ~

現役デリヘル嬢のリアル体験 地獄でほっとけ!

【第46話】「痛い!むかつくお客さん」

2015.7.21

「ものすごい凝ってますよねー? お仕事は何をされているんですか?」

「え?」

あたしは返答に困った。

ここは、駅前にある『ラクーン』なんてありきたりな店名のマッサージ屋さん。

ちょうど肩から腕にかけてのマッサージの最中に聞かれた。

「仕事はデリヘルです。ええ。風俗嬢です。手コキやり過ぎて腱鞘炎の手前です」

などとは言えるわけがない。、

「普通の事務員(淫)ですよー。パソコンと1日中にらめっこしてますぅ」

その実、にらめっこをしているのは男性の性器です。言えやしない。全く。うんざり。

あー、本当に肩も凝るし、画面の見過ぎで目が痛いしぃー、もう仕事辞めようかな。

なんて、気怠く取り繕うよう付け足す。俗世間の仕事ではないような風俗の仕事。まさか肩凝りになるなんてさ。自虐的に毒づく。

デリヘルとは別にこちらもデリバリー型の風俗エステで掛け持ちしているあたし。その風俗エステつーものは、デリヘルとは違い、風俗だけどお口のサービスがない変わりに、最後のフィニッシュは、ローションを使って手で発射! なのだけれど。うーん。なぜか、すんなりとイッてくれない男性が多いこと多いこと。

オプションにある全裸になっていたら「触ってぇー」と乳を触らせ、少しでも興奮のスパイスを与え、射精しやすくするんだけれど。うーん。それでも、なかなか手強い欲望器官って。

「えー、まだ、出そうにないです?」

上目遣いで聞く。

「あ、さっき出そうになったんだど我慢しちゃってさ。引っ込んじゃったー」

はぁ?おい! イキたいときは自制心など捨ててすんなりとイッてしまえ。

手が痺れまくり、痛くて痛くて泣きそうになる。

右手が疲れてくると左手に替えるタイミングで、結構な割合で「あー、今、出そうだったのにぃー」とか言われる始末。と、手が痛いくだりは序章でした(笑)。

そう!あるお客さんが、まだ潤っていないあたしのアソコに指をズボっと、急に入れて来たんです。、

いつもなら劇団ひまわりの団員になり、うまーい演技をしていれば、濡れてきて堪えられるのですが、なぜかずっとずっと痛い。しかしデリヘル嬢にとって「痛い」は口に出し手はいけない言葉(場が白けてしまうから)。

あたしは、その痛さに堪え、「痛い」と発する変わりに「感じるぅ」などど真反対な単語を口にしたものだから、さー大変。

「そうだろ?ここが、いいんじゃないの?」お客さんはだんだんと強めにしてきて。が、一向に痛さが引かない。むしろ倍増した感じ。

とうとう我慢できなくなって「あのー、本当にすみません。痛いんです」と、本音を口にした。お客さんは、「え?という感じで眉間にしわを寄せながら、

「爪長いかもー」と言い出したので、「え?見せてください」と、あたしはお客さんの指をとり、爪の長さを要確認。

ゲゲッ。爪がめちゃくちゃ長い。

「切って下さい。あたし爪切り持ってますんで」

少し尖った口調でお客さんに言いました。したら、

「えー、俺、爪さ、伸ばしてんの。切りたくないよ」

「……」

おい!デリヘル嬢だって同じ生身の人間、か弱いオンナだよ。そんな長い爪じゃあ傷がついちゃうじゃない。

案の定、ティッシュで拭ったらちょっぴりだけど出血していた。ヒリヒリとするアソコは、あたしのくだらない矜持のせいでもある。

「ごめんねー」と、ちっとも感情のこもっていない謝罪の言葉はあたしを苛立たせる。けれどあたしも悪い。最初にシャワーを浴びるとき、手をおざなりに洗ったのがいけなかったんだ。

きちんと、爪が切ってあるかの確認はしなくてはならないな。と、心底反省しつつ、

「じゃ手で」と、優しい微笑みを投げかけ、やんわりと論した。

ゲゲッ。これまた、手が腱鞘炎になりそうー。と痛いアソコの違和感を噛み締めつつ、あたしは、今日も抜きの旅に出る。以上(笑)。

次回は、「キスはダメ、あれもダメ~」です。

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藤村綾

風俗歴15年。現役デリヘル嬢。風俗ライター。『俺の旅』ミリオン出版にて『風俗珍講座』連載中!日々炯眼な目で人間観察中。




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