通常のデリヘルの場合。プロフィール欄に『ややMです♪』や、『Mだと思います』や『どMです』などど、大概書かれている。
以前従事していたお店では、あたしのプロフィールは、
『どSです。虐められたい男性!まいさんは、(以前の源氏名は、まいでした。)生粋のSです!満足させます!』
まあ、なんてこと、大袈裟に書いてくれましたね。
もう……。そう、あたしは、『どS』なんですーぅ。
と、いいたいけれど、本当は逆。あたしこそ『生粋のM』です。
はぁ?どういうこと?
首を傾げたくなる、この件。
なぜ、本当のことを書かなかったのか。
それには、訳がありまして。
風俗遊びをたしなむお客さんは、必ず、プロフィールを閲覧します。
お客さんにとっての、女の子の情報源は、ネット以外にないです。
なので、隈なく、チェックをし、自分の嗜好に見合う子を見つけます。
まあ、確かに、SM専門店に行けば間違いないのだけれど、風俗遊びに慣れているお客さんは、いかにも、ザ・風俗嬢!な風貌ではなく、素人っぽくってすれていない子を求めがち。(わがまま)なので、SM嬢でもない、普通のM嬢や、S嬢を求めるのであります。
「店長?、あたし、本当はものすごいMなんですよ」
面接の日に店長に告げた。
店長は、ああ、と、あたしを値踏みしつつ、口を開いた。
「見た目からして完全にMだよね。見てわかるもの。Mで売ってもいいかと思うよ」
確かにM嬢・新人で売り出せば、集客間違い無しだと、あたしも思った。
けれど、
「Mって書くと攻められるじゃあないんですか? もちろんのこと」
店長は、まあ、そうだよね。でも、Mなんでしょ。
あたしは、首を振りながら、たよりなく、ささやくようつぶやいた。
「Mなんですが、攻められるのはいやです。なので、攻められることが少なげなS嬢ということで売ってください!」
ああ、そういうことね。店長がうなずきながら、納得の表情を見せた。
専門店だと、Mコースは高額なため、あまり需要がないときく。
でも、通常のデリヘルで、『どMでーす』などど、謳ったものならば勘違いをした、Sなお客さんにあたってしまうかもしれない。
身体が資本だ。無理な強要をされ、Sな行為をされたら、たまったものではない。けれど、『Mじゃあ、ないのか』と、突っ込まれたら、身も蓋もない。
結局あたしは、『生粋のS』で売り出されることになったのだけれど。
ふふふ。
これまた、Mなお客さんの多いこと。多いこと。
あたしは、根幹がMなので、Mのお客さんの気持ちがわかる。
たっぷりと可愛がってあげましたよ。
えー!どんなふうに?具体的に!このお話は次回ねー!
今現在は、Mでも、Sでもなく出勤していますが、やっぱりMなので、時折Mの匂いを察知するSなお客さんにあたると、決まってこう言われます。
「生粋のMだね……」
演技ではなく、あたしは、涙を流し、お客さんに嗜虐的なことをされても、プレイが終われば平然と帰る。
お客さんは『いやー、演技でもよかったよ』と、おっしゃいますがねー
あたし、演技できないですから。
風俗遊びでも、涙を流し、従事するデリヘル嬢にあたったら、お客さんもさぞかし、満足じゃあないかしら。昔のあたしでは、できなかったことでも今は平気でできるから慣れって怖いわー。
ってことで、次回は、『Mなお客さん』です。
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藤村綾
風俗歴15年。現役デリヘル嬢。風俗ライター。『俺の旅』ミリオン出版にて『風俗珍講座』連載中!日々炯眼な目で人間観察中。